「欲望という名の電車」
久しぶりにまともな本を読んだ。苦笑。 有名な戯曲… 実は、中学生くらいの時これの文庫本買った事あるの。 これと、同じテネシー・ウィリアムスの「焼けたトタン屋根の上の猫」の2冊。 でも結局読まなかったの。 ページ開いたら「戯曲」なんだもん。 普通の小説とは違って読みづらいし、内容も子供向けであるわけないから全然おもしろいと感じられず、本棚に「飾っておく」本になってしまった…笑。 ま、10代の乙女としては文庫本とか、テネシ−・ウィリアムスとか、なんか背伸びしたくてわかりもしないのに買ったんだな。で、読まなかったんだな。 五木寛之の「風に吹かれて」も買ったよ。 読んだけど何も覚えていない…笑。 そりゃ星新一とか平井和正とかに比べたら読みづらいかもね。 今でも戯曲ってほとんど読まないもの。 というより小説自体ほとんど読まないわ。苦笑。 ノンフィクションとかなら少しは読むけど… グロイやつとか。 ここ十数年、2,3ヶ月に一度くらいは本を買うのよ。 新聞の書評欄で紹介されておもしろそうだ、と思ったものをネットとかで。 で、届いてパラパラとめくって「ほお、こんな感じか」とそれで満足して「積ん読」に。笑。 しかし本って高いのね… 2千円とか3千円とかってあり得ない。 そう思うならちゃんと読めよ…苦笑。 でまた凝りもせず購入したのよ、新潮の文庫本。 これは300円くらい、中古だったのかな。 なんと、大昔買ったのとまったく同じ表紙で! 同じ新潮文庫で!! そしてなんとなんと、読んだんだな!! 最後まで!! おお…。 令和始まって以来の…ってまだ3年か… 何年ぶりだろう、まともに本読み切ったのは。 エッセイとかノンフィクションなら読んだけどね。 週刊文春とか…笑。 週刊誌は読書、っていえるのかな? ちなみに、昔野球選手の松井稼頭央が「趣味は読書です」って漫画を出したけどね。 こち亀だったかな… あれは笑った… さすが松井稼頭央。 漫画は読書といえるのか… 一考を。 で、なんで「欲望と…」なのか。 何年か前に「ブルージャスミン」って映画観て、おもしろくて。 ウディ・アレンの作品ってあんまり好みじゃなかったんだけどこれはおもしろかった。 ケイト・ブランシェットの壊れっぷりが見事で。 この映画が「欲望と〜」を下敷きにしてるというので興味がわき、書籍と、ついでに映画の方も観た。 ヴィヴィアン・リー主演。 そういう映画があるのはもちろん知ってたけど観たことはなく、ツタヤ行って借りた。 さすが名画、どんどん縮小していくツタヤのDVDスペースにもちゃんとあった。 こういう時都会は便利だなあ、すぐ観ることができて。 って最近は配信なのかな?レンタルじゃなくて。 内容は、虚栄とプライドにまみれて現実を受け入れられなくなった中年女の壊れっぷりの物語で。 そりゃ中学の時感情移入できるわけなかったよね まだ人格が固まってもいないのにコワレが理解できるわけもなく…。 その残酷さや深みは、いくらおませな思春期の少女でもさすがに遠い。 想像すらできなかった。 さすがにこの年になったら充分理解できて(笑)、充分堪能することができました。 しかしイタイ、イタすぎる、このヒロイン… でもこういう女って割と身近にいたりして。 自分も、人生のボタンが少し掛け違っていたら仲間入りしたかも… ああ、しないでよかった! だいたい老いが怖いほど美人じゃないしね。ははは。 映画も、久しぶりでまともに字幕で名画をしっかり観たよ。 何かしながらDVD観ることが多いので吹き替え好きだったんだけどね。 「風と共に去りぬ」のヴィヴィアン・リーが、あの美人女優のアイコンみたいな女優さんが見事に「イタイ女性」を演じてました。(オスカー獲得) しかし白人の超美人って一歩間違うとホラーだな… ほら、目が大きすぎてコワ。 それより見事だったのはマーロン・ブランド! 粗野で暴力的でいかにもろくでなしなアメリカ人の夫役なんだけど、そのセクシーなこと! マーロン・ブランドって私はゴッドファーザーから入ったから、若くて美しい時代をあまり知らなくてね。情報は持ってたけど。 あのポール・ニューマン(私はこっちの世代♪R・レッドフォードとかね)がデビュー当時「マーロン・ブランドの亜流」ってこき下ろされたってくらいだから。 いやいや、若き日のマーロン・ブランドの美しいコト! あのヴィヴィアン・リー紛するブランチを発狂に追い込むスタンリーの、残酷さ、卑しさ、鬼気迫るも美しいお顔のド迫力… 圧巻でした。 そのくせ女房殴って、家出されたら泣いてわびる可笑しさときたら…笑。 役作りや演出のきめ細かさ、完璧さ… いくつか道徳上問題のあるシーンはカットされたとはいえ、やっぱり名画です。 キムタクも、かっこいい役ばっかりやってないでこういうのに挑戦すればよかったのに。 美しい男はただのTシャツだけで美しいんだな。 裸だったらなおセクシー。笑。 もう遅いか。残念。 いつまでも若作りで「マック見っけ♪」「ダブチー」もないだろうに…。 キムタクのチンピラ役見たかったな、もっと若い時に。 「詐欺師キムタク」とか「美人局キムタク」「ほら吹きキムタク」etc.… あ、別にファンじゃないけどね。笑。
PS. 猫の世話が楽になって「日々是雲古」のネタがなくなってしまった。笑。 それはそれで寂しい… といいつつまたうんこと糞にまみれる日々はさすがにかんべん。笑。 先日、明け方にアビが枕元にきて、暗かったから一瞬ネルちゃんに見えて、 「あれ、ネルちゃん元気になったんだ!」って錯覚して、でも 「あ、そんなわけないんだ」って気づいて… 少し寂しかった… でもまたすぐ寝た。
夏子
「日々是雲古」
ネルちゃん、先月亡くなりました。 昨年末ののココアちゃんに続き、あわただしい日が続きましたが。 12才、長いとも短いとも…。 もう長いこと下痢で、前にも2度ほど診てもらったこともあったけれど、その時は特にはっきりとは原因はわからず。 食欲も元気もあったのでそのまま様子見の日々で。 でもさすがにこの1年、下痢がひどくなって体重も減り、クリニックへ連れて行くことに。 世話に手がかかることもあったけど、いつも下痢じゃ本人(ほんにゃん)が可哀そうだった。 あれじゃ栄養も取れないじゃないの…。 ネルちゃんは5才くらいの時に目に膜ができる異常があり、お医者に連れて行っても原因はわからず。 でも紹介された犬猫専門の眼科、へ連れて行ったらそこに「名医」がいましてね。 原因がわかり、投薬で劇的に治ったの。 だから今回も何かわかり、投薬とか点滴とかで少しでも改善されるなら…と。 すると、大腸に問題があるらしくて手術も提案されて。 しかしそれは結構難しい手術で五分五分、もしくはそれ以下、最悪手術中に…もありうる。 長時間の麻酔に耐えられるかどうかもわからない。 何より手術となるといろいろな検査が必要で、それだけでも相当なストレスだろう… 入院だけでもしんどいのに。 もし耐えられたとしても予後も厳しい…。 1時間ほど考えた末、手術は回避。 あとどれくらい生きられるかわからないけどおうちで好きにさせよう、好きなものを好きなだけ食べさせよう、と選択。 切ったりはったりせずに「猫のままで」…と。 食欲は十分にあったし普通に歩くし元気もある。 もう一度チュールをおねだりする顔を見たかった。 実際食欲はすごくあって、よく食べる。 だから「手術もありか?」と一瞬迷ったのだけれど…。 結局家に戻してから1週間で亡くなりましたが、亡くなる2日前くらいまで普通によく食べ、「もっとチュールちょうだい!」と大きな声で鳴いてリクエスト。 もうチュールの食べ放題。笑。 銘柄に飽きると「違うのを出して!!」とすごい声で鳴く。 えっこれも飽きたの?しょうがない…と近所のショップを歩き回って様々な種類のチュールを買い、与え、そしてそれも一通り食べ飽きた頃… もうあまり食べなくなり、下痢もなくなり…。 「ああ、その時が来たのかな」と覚悟…。 日曜日にクリニックから連れ戻してその週の土曜日の朝。 まだ普通の声で鳴く、歩く、風呂場のマットでごろんと丸くなる。 そしたら! 少し目を離したスキに風呂場の隙間に入っちゃったの。 そこは人間の手がとどかない暗がりで。 10何年か前アメショのグリコが亡くなる時も入り込んだ隙間で。 昔の家屋なら縁の下、に入る感じだろうか。 「あ、おまえそこで逝くつもりか。そうなんだね!」 しかし納得もしていられない。死んでしまうのは仕方ないが亡骸がそこじゃ困る…と、実は消防署の人にきてもらったの。苦笑。 「ここの隙間に衰弱した猫が入ってしまいました。 何とか取り出せませんか?」 「確かににここですか?」 「おそらくここです。スコープカメラみたいなもので確認できませんか?」 「そういうものはありません…」 「ありゃりゃ…」 何もできず、あたあたしてたら、「にゃあ」と声が。 「鳴いた!たしかにここだ!ここに居る!」と消防署の人。苦笑。 鳴いたということはまた出てくる可能性もある… しばらく待ちます、ということに。 「お役に立てず、すみません」 「とんでもない、猫ごときで出動させて…」 消防署の方はていねいに書類を書いて、立ち去って行った… 本当に猫ごときで申し訳ない…。 そのあと。 30分くらいしたら穴ぐらから出てきて、 気が付くと私のベッドの上で丸くなって寝てた。 なあんだ、やっぱり冷たいコンクリの上より布団がいいんかい!笑。 でもすごいな、ベッドに飛び乗ったんだ…。 ほっとしてリビングの猫ベッドに連れて行く。 私の足下に。 「いよいよもうすぐなんだろうな」…。 ネルちゃんの大好物だけど控えていた牛乳を入れた皿を口に近づけると、美味しそうに少し舐め…。 その後はほとんど寝たままだったが時々よろよろと動き、部屋の隅の暗いところに移動。 「今自分は弱っている、身を隠さないと襲われたら危険」と察知した動物の本能だろう。 こんな都会のマンション猫でも野生の本能があるんだな、誰に教わったわけでもなく…と感心する。 「最後を看取る」というのは人間の都合で、猫にしてみたら 「静かに、ひっそりと身を隠す」ものなのかもしれない。 翌朝はもう逝っていた。 (夜中に1度鳴き声を聞いたけど) もう硬くなっていた身体をキレイに洗った。 ロシアンの美しい毛並みが少しでももどるように。 今まで長い下痢でお尻付近の毛が洗いきれなかったので。 考えてみれば、亡くなる2日前までよく食べ、実質寝たきりは半日くらいだった。 クリニックの先生に「なんであれだけ下痢だったのに、最後まで元気だったんでしょう?」とたずねたら、「…強いコだったんでしょう」と。 私は今まで「お腹の弱いコ」と思ってたんで、ネルちゃんが強いとは思いもしなかった。 そうか、そういう見方もできるのか…。 他の猫に比べて小柄なので私はネルちゃんを時々「小っちゃいちゃん」と呼んだ。 (ココアちゃんが「大っきいちゃん」) 小さくてかわいかった。 小さいけどギリギリ最後までよく食べよく出し(笑)、歩きまわり、元気だった。 そうか、ネルちゃんは強いコだったんだ。合掌。