「まんが寺子屋便り」
先週、恒例のまんが寺子屋を実施。 今回はいつもより参加者が少なかったので割とゆったりしっとりとしたお絵描きタイムに…。 「X」でリピーターさんの過去作品の講評とかなどしたり。 何度か紹介している参加者のお母様の作品を賞賛したら娘さん、「あ、ママのだー!」とパッと顔が明るくなった。 いつもは「ママの絵は昭和なんだよー」とイジったりするお嬢さんなのに、母の作品が褒められたらやっぱりうれしそうだった。 今日もお友達とわいわい楽しそうに参加してくれた。 何でも、彼女もお友だちもタブレットを手に入れたものだからますます熱心にどんどん描いていく… すごく上達してるんだけどなかなか作品を見せてくれない。 「今まだ途中だから!」とか「これは気に入ってないから…」とか「恥ずかしいから!」。 ま、気持ちはわかるけど。 楽しそうなのでこちらもうれしい。 ただ、そのタブレットの値段を聞いてシニア参加のTさんが「ひえ〜」とひたすらびっくりしていた。 こちらで用意するタブレットがiPadの最新のタイプなので、つい「同じもの」に目がいくようで…。 ま、タブレットは最新の方がスピードが違うから。 サクサク動かないとストレスなのよね…。 でも少々親御さんに申し訳ない気も… 別にアップルのまわし者でもないんですが…苦笑。 子供たちはデジ機器ですごい速さでどんどん技術を会得し、どんどん自分のワールドを広げていくのと対照的に、親御さんはアナログですごく慎重にていねいに初々しく取り組んでくれる。 今日は目の前のお子さんのスケッチを…。
…いやあ、いい絵ですよ。 娘さんからは「口が大きい」とか「Aちゃんの方が可愛く描いてる〜」と反抗期らしいクレームがきたけど。笑。 なんかすごく愛情が伝わってくる… アナログのよさというか。 講師も感心しきり。 ある意味わたしたちには描けない絵ですよ、と伝えると ええ〜、そうですか?うれしいですー。 プロは、そりゃ技術はあるけど〆切はいつだとか稿料はいくらだとか邪念が…苦笑。 (前回もだったけど)描くのが楽しくて、と言ってくれた。 「描くのが楽しい」だなんて、それ以上の喜びが他にいくつあるだろう? 本当にアドバイスをする私達もやりがいがあるというものです。 その時ふと 漫画の「?」なルールを改めて考える。 七不思議的な。 なぜだか日本の漫画は「小鼻を描かない」んだよね。 鼻自体描かないタッチも多くある。 なぜだ!? 理由は私達もわからない。 でも確かに小鼻を描く漫画家さんはほとんどいない。 外国人とか老人とか、特別なキャラでは小鼻は描かれるけど、主人公はまず小鼻を描かない。 前に後輩のSさんが自分の絵のこだわりで「どうしても小鼻を描きたい」と主張した。 「いやない方がいいよ」とそこに居た全員がアドバイスをしても 「でも描きたいです!」粘る… ほどなく大先輩のベテラン漫画家先生が「…S,理由はないが小鼻は描くな」。笑。 とにかく小鼻は描かない。 昔私が漫画家になる前にアニメスタジオでもさもさしていた頃、そのスタジオでフランスと合作で何やら作品の企画があった。 フランス作のキャラ表を見せてもらうと、小鼻がある…。 …正直可愛くなかった…。 80年代初め、まだまだ日本のアニメが欧州を席捲する前だ。 可愛くなかったせいかどうか、企画自体がなくなったかな。 しかし変な絵だった… 妙にリアルで。苦笑。 そのお母さんは「娘さんの口が…うまく描けなくて」と迷っていたので 「歯は描かなくてもいいですよ、アウトラインより薄いコピックで後から少し表現する程度で」と アドバイスしながら、そういえば漫画のキャラでは歯もほとんど描かれないなあ、と。 理由はわからないけど…苦笑。 歯がしっかりあるのは赤塚不二夫のイヤミ氏かじゃりン子チエ、くらいだろうか。 ついでに唇にも色を付けない。 女のコにだけ薄ーく、ほんとに淡いピンク色をうっすら乗せることがあるくらい。 前に私がサッカーのネイマールの似顔絵をカラーで描いた時も、実際のネイマールの唇にはしっかりと唇の色があるのだけどそれをリアルに描くと「オカマ」になってしまう。 実際は男性でも唇には色があるのに…。 不思議だ…。 ついでに「ほうれい線」もできるだけ描かない方がいいかもしれない。 老人でなくてもほうれい線は存在するけど(特に笑った時とか)、実際にリアルにほうれい線入れると一気に80代のおばあさん、になっちゃうのよね。 昔エッセイ漫画で私の母の似顔絵で、思い返せばまだ60代くらいだった母に思いっきりほうれい線を2本、強調して入れたら、母は気に入らなかったようだった。 こんな鬼ババーみたいに描いて…と。苦笑。 家族は「似てる〜」と大ウケしたけど、ウケればウケるほど母は傷ついたようだ。 すまない…。苦笑。 漫画の絵には、なぜだかわからないけど「暗黙のルール」が存在するものだ。 改めて不思議に思う…。 日本の漫画家は本能的に?「リアル」と「デフォルメ」を使い分ける。 理由は多分ない。 でも漫画家はみんなそうしている…。
PS. 「あしたのジョー」のジョーは真正面がない。 横顔か、必ず左右どちらかを向いている…のは有名な話。 (ジョーのフィギュアは製作不可能、と言われたが見たコトはある) ついでにちば先生の作画では全キャラクター真正面がない。 あれだけの巨匠先生なのに…。 もし聞く機会があれば聞いてみたい気もするけど (怖れ多いが…)でも多分ちば先生は 「あ、そういえばないね」とかおっしゃりそうな気もする。
夏子
GWかあ…。 今年はカレンダーによると大型連休になりにくい、とのこと。 長らくGWとは無縁だったし(昔はGWは合併号ではなかった) もともとGWに家族で旅行する習慣もなかった。 だいたいフリーランスなのになんだって一番高くて一番混雑する時期に旅行しなきゃならんのよ…笑。 子供の頃は飛び石が普通だったな。 だいたいいつから日曜日が休日になると月曜に振り替えになる、ってコトになったんだか…。 少年ジャンプの発売日が金曜に繰り上がっちゃうのでジャンプの作家さん達には迷惑だっただろうなあ、ついでにいつから「ハッピーマンデー」なんて習慣もできたのか… これも漫画家には迷惑以外のナニモノでもなかっただろう。 (〆切が繰り上がるから) …もっとも私は〆切を守っていたのでさして影響はなかった …とここで何度書いたことか。 最近は、家族旅行のために申請すれば子供を休ませるコトができるんですってね。 学校側もOK,と。 ひえー、時代の流れとはいえいかがなものか…。 何でも、学校で学ぶコトもいいけど旅行で学ぶのもまた善し、って風潮なんですって。 いっそ学校は気が向いた時に行けば?なんてね。 私はむしろ学校に行きたい子供だったなあ。苦笑。 だって行楽とかに連れて行ってもらえるでもなし、もし行けたとしても父の車は臭くて、だいたい出かければきょうだいの誰かが必ず 車酔いして吐き、楽しむどころでもなく。 それに昔は出かけるとかなりの確率で道路には車にはねられた犬や猫の死骸が転がって…てなこともここで書いた記憶が。 トラウマだよ…ひゃあ。 それに当時は「子供のために」って発想はあまりなかったよ。 少なくともうちでは。苦笑。 お母さんは家事でお父さんは仕事で忙しかったから子供にかまう余裕はなかったような…。 「どこかへ連れて行って」って頼んだ記憶もなく… どこもそんな感じだったよ、多分。 そういう記憶…。 同じマンションの30代の中国のお嬢さんが居るのよ。 彼女が 「ヘイウチさんはお金持ちなのに旅行にイカナイノデスカ?」と。 「うーん、渋谷に行くのも面倒くさくて…疲れるし」 って答えると「ええ〜??モッタイナイ〜」と不思議な顔をされた。 「家に居るのが好きなのよ」と言ったらもっと不思議な顔を。苦笑。 「20,30代の頃は行ってたよ。 イタリアやロンドンとか…」 たいていサッカーがらみだったけどね。 「私もロンドンは行ってみたいなー…。 あ、中国にも来てくださいよぉ〜」 「でもさあ、中国ってほら、トイレの壁がなくて… ニイハオトイレはいやだよ〜」 「いつの時代のハナシですか(大笑)〜 上海とかキレイですよぉ…」 などと料理をしながらおしゃべりを。
忙しくてあまり料理はできない、という彼女、でも作る時は割としっかり、栄養バランスのいいものを作っている。 味は少し辛めだろうか。 私の作る料理も差し入れすると喜んでくれる。 中国映画とかでも感じたんだけど、中国料理って美味しそうなんだよね。 必ず野菜に肉か魚を入れてたっぷりの油でしっかり炒めて、主食に添える。 お米だったりパンだったり。 「包子(パオズ)って言うんですよぉ」 「包子なら知ってる!包む、って字だよね?」 「ソウデスソウデス〜」 彼女が言うには 「日本の方の食事、肉が少ないですよ〜、ご飯とか?炭水化物が多い。 中国人は肉が好きですよぉー」 「日本人はね、元々お米で生きながらえてきた民族だからね。 ちょっとのお米で大丈夫なのよー」 「ええ〜、私は肉が好きですぅ〜食べたいですー…」と笑う彼女は小柄でほっそりしているのにしっかり食べる。 それを見ながら冗談で、 「うーん、中国と戦争しない方がいいなあ。敵わないワ」 やっぱり肉をしっかり食う民族は強そうだ…。 「ええ〜、中国は戦争なんかしません〜」笑。 (昨今、チト笑えないジョークかな?苦笑) 「そだね。日本も憲法で戦争はできないんだよ。守るだけなのよ」 これも笑えないか。苦笑。 いつだか、何かお祝いの時彼女に 「御馳走を作ってあげるよ、何食べたい?」と言ったら 「…ヘイウチサンの作るミネストローネ〜」と。 「えー、ミネストローネは御馳走じゃないよー」 肉も入ってないし。 …うれしかったけどね。 外国人が日本で仕事をするのはいろいろな面で大変だろうな。 人懐っこく、英語も日本語もペラペラの北京大出身のエリートの彼女も、時には元気のない時もあるようで。 悩みを日本語で語るのはもどかしいだろう… それに対して、親子ほど年が違うのに気の利いたコトを言ってあげられない自分ももどかしく…。 「うまく励ませなくてごめんね。 でもせめて美味しいものを食べようね」と言うくらいで…。 「そうシマショウ〜…」人なつこい笑顔で…。 ちなみに、中国語で「がんばれ」は「加油」なのよね。 「ジェイヨォ〜」ですよぉ、と発音を教わる… 「ジョンヨォ、だとお醤油です〜」と笑う。 中国語は母音が難しい…苦笑。 たくさんあるらしいし。 ふと、日本語の「がんばれ」を考察。 漢字で書くと「頑張れ」だな。 「頑な」→かたくなに「張る」…ひたすら、拳を握り、歯を食いしばり耐えるイメージか… うーむ、「油を加える」にはやはり敵わないかな。なんちゃって…。
「çà et là(サ・エ・ラ)…」
つかのま、さわやかな日が続いています。 やがて来る猛暑を思えばなんと貴重なひとときか…。 街路樹や生垣でもあちこちの木々に若葉が茂り…。 マンションの玄関のプランターのツタも、一昨年くらいに植えたのだけどようやく根付いたようで、美しい新芽がたわわに。 きれいだなー、と近くで見ていたら、知らない虫が付いていた。 7ミリくらい、白っぽくてフシがあり、イモムシというよりはダンゴムシみたいな丸くて細長い幼虫…。 lineで友人に「これは何だろう?」と聞いて見たら、立ちどころに「画像検索によると、クロヒラタアブかも」とのコト。 えー、アブはやだなあ…。 でももしかしたら…と調べると、「アブラムシを食べる」と出ている。 益虫だった! たしかにさっき見たツタの若芽にはアブラムシがいっぱい居た。 だからもしかしたら…と。 果たして、やっぱりアブラムシを食べる益虫で、しかも成虫になったアブは人は刺さないと。 ウェルカム!だったわけ。 よかったよかった。 「ウチのジューンベリーにもアブラムシがたくさん付いて、 でもテントウムシが来てぜーんぶ食べてくれました!」 「そうそう、うちの屋上にも前にテントウムシの幼虫が来てくれたかと 思ったらあっという間にアブラムシは居なくなり、台風の後にすっかり 去って行ったっけな」 「えー、そんなシェーンみたいなカッコいい虫軍団が居るんですか?」 「居るんだよ…」 こんな都会に、しかも舗道のこんなちっぽけなプランターの若芽をよく見つけてくれたものだ。 自然のプログラムには毎度驚かされる…。 困る虫もいるけど、役立つ虫も居る… あくまで人間の都合だけど。苦笑。 屋上にはアゲハのために昨年植えたハッサクが花を咲かせ、その香りの素晴らしいコト! 少し前にはヒメリンゴが一斉に咲き、甘い香りを漂わせていた…。 もったいないので思い切り嗅ぐ… 嗅いでも嗅いでもまだたくさんある… 吸いきれない…笑。 なんと贅沢なコトか…。 花も香りも最高だった… そして咲き終わればみんな風と共に消えていく… (花びらのゴミは残るが…笑) この惜しみなさ、自然の賜物だ。 いちいち写真は撮らないから五感の記憶を残すだけだ…。 それもまた善し。 そして、キター! アゲハの幼虫1号が! さっそく捕獲する… よく見ると若葉のそこここにちらちらアゲハの黄色い卵がある。 一つ二つ… 数えている間にも小さめのアゲハ蝶がひらひら飛んできた。 多分越冬したサナギが羽化したんだろう…。 アゲハ母さん、きちんと美味しそうな若葉を選んで産卵してるようだ…。 それにしても新緑の緑色の美しさはどうだろう。 どんな絵の具でも敵わない緑色の瑞々しさよ。 子供の頃は緑色はあまり好きじゃなかったなあ。 赤やピンクも好きじゃなかったし、黄色も何となく避けて。 緑色は「おとこ色でもおんな色でもなく、しいて言えば大人色?」だからやはり敬遠… 結局服とかで選ぶ時は「青」を選んでいたっけなー。 今でも紺色は好きですでよく着ていますが。 ようやく緑色の美しさに気づいた… 年のせいかな?笑。 そんな感じで屋上でつかのまの風を味わっていたら、 居た! テントウムシ! アブラムシを食べるためにやっぱりコイツも来てくれたんだねー! 昔アブラムシの幼虫(ゲジゲジみたいな黒くてキモイの)を知らず、せっかくアブラムシを駆除に来てくれたのに殺しちゃったっけな。 (ごめん〜) 忘れずに来てくれた…。 つくづく、こんな都会でも生き物たちは忘れずに確かな食物連鎖のプログラムを順守してくれる… 自然の驚異に感動です。 (アゲハの飼育のために殺虫剤は避けたいので) 今年もまたアゲハ飼育の季節がきました。 本当に、今年も来てくれた… 感謝感激です。 うふふ。
PS. タイトルの「çà et là」…サエラ、とはフランス語で 「そこ、ここ」「あちこち」とか言う意味です。 春がきました、そこ、ここに。 きれいな語感ですね。