「…久しぶりに何をいまさら手塚治虫」
めずらしく近所のファミレスにランチに行ったのよ。 目当てのお店が突然のお休みで、仕方なく。 ま、たまにはいいか…と。 味もそんなに悪いわけでもないしメニューもいろいろあるからね。 で、入る。 すると、メニューはタッチパネルみたいなの。 私は初めてでよくわからないので友人にまかせる…。 スマホでQRコードを読み込むタイプのお店もあるね。 (QRコード見ると、いつもうちのアビの肛門を彷彿…) 味気ないなあ… ま、イマドキなんでしょ。 店内には、配膳ロボ君が働いていた。 さすがに二足歩行ロボットではないけど。笑。 ちゃんとお客さんとか人間が歩いていると立ち止まったり、道を譲ってくれたりする… ちょっとかわいいぞ… お掃除ロボみたいね。 パネルで注文すると、しばらくして料理が到着。 さすがに受け取りはこちらがするようだ。 もし取り損ねたらどうなるのかな?なんて考えちゃった。笑。 その配膳君の動きを見てたら手塚治虫の漫画を思い出したわ。 割と晩年の作品で、医療ロボットを扱った読み切りだったな… たしか少年マガジンだった。 タイトルは「ダリとの再会」、というなかなか渋めの味わいで。 その医療ロボのダリ、と不良少年との交流がテーマ。 短編だし割と地味な作品ではあったけど。 ブラックジャックの中で「U22」っていう医療コンピューターとブラックジャックとの交流を扱ったエピソートがあったね。 あれは感動的だった… なぜだかコンピュータは「女性」だったなあ。 「ダリとの再会」のストーリーの詳細は忘れたけど、 その不良少年が病気か怪我で入院したのかな。 で、新進の医療ロボの「ダリ」が彼を診るの。 「てやんでい、機械なんかに診断されてたまるかよ」って反抗的な少年と、健気で献身的なロボット・ダリとのほほえましいエピソートが展開されたかな。 その後ははっきり覚えてないんだけど、少年は治って退院して、更生したかどうか… 多分あまり更生はしなかったのかな。 その後医療ロボットはどんどんリニューアルされて、第一号だったダリは廃棄処分になったような記憶… 違ったかな…。 (うろおぼえ)で、何年か後あいかわらずパッとせず、ろくでもない少年とどこかで再会するの。 あれ、ゴミ捨て場だったっけ? 病院だったような気も…。 でもね、時代遅れ(?)ロボのダリは少年を覚えていたの。 ごみにまみれ、ボロボロになったダリは、やっぱり薄汚れていた少年を見つけ、彼の方へ移動し(注・二足歩行ロボではない。だから歩く、ではなく「移動」)機械のアームで、ゆっくり少年の脚に抱きついたの。 その時の絵! 機械なのに、本当に懐かしそうなんだよ。 ともだちみたいに。 もちろんセリフはなし、でやさしく、あたたかく、可愛らしく…。 手塚作品の一番の魅力はやっぱり「キャラが可愛い」ってトコだよなあ!! 子供や動物が可愛いのは当然として、大人も、悪役も、植物(擬人化)もそして機械も!何とも愛らしいというか愛嬌がある、うん、チャーミングなんだよね、手塚作品は。 ジブリ作品もかわいいけど、手塚作品の方がもっとダイナミックで力強く、シンプルでそして「カワイイ」…時にクール!…。 今、世界を魅了する日本のサブカルの「カワイイ」の始祖はやはりこの神様…うん。 で、「ダリとの再会」にもどると。 本当に懐かしい、愛しそうに少年の脚に機械のアームで抱きつくダリの動きのかわいらしいコトったら!! そう、「カワイイ」の。 機械なのに。 アトムとかと違って、擬人化された顔みたいなものはないのよ。 初期のスターウォーズのR2D2よりもっと機械っぽい。 人間っぽい造形では全然ないのに、あの機械のアームだけど「なつかしさ」「いとしさ」「かわいらしさ」… つまり「愛」を見事に(でもサラっと)表現していたんだよね、手塚治虫先生は。 自分を覚えていてくれた… 少年、涙をひとつこぼしてうれしそうに「ダリ!」と叫ぶコマがラスト。 ああ、さすがの神様…。 今こうして思い出して文を書いていても泣きそうだわ。 ファミレスの配膳ロボ、私がドリンクバー行く時少し下がって道をゆずってくれた動きを見て、いにしえの神様の作品を思い出したんでした。
PS. 「ダリとの再会」、もう一度読みたい気もするけど多分短編なのでどこかに 収録されているかどうかもわからず。 令和、記憶をよすがに昭和の神様を懐かしむ…。
夏子
「白鳥の湖」
先週、日本の老舗のバレエ団の「白鳥の湖」を観に行った。 日本のレジェンドのプリマがオデットと、なんと黒鳥オデールも踊るというフレコミ…。 ええっ!? あのレジェンドが?? うっそー、だって白鳥の湖の黒鳥、といえばあの名場面、「32回の連続回転!」があるですよ。 アラベスクでも主人公のノンナがいきなり踊らされて、でも転倒して失敗して、でもそのポテンシャルの高さにわかる人はわかる…という名場面の、あの黒鳥の32回転! それをやるですか?! 私思わずバレエ団にチケット取る時電話で聞いちゃいましたよ。 「黒鳥もやるんですか?」 「やります」 うわあ、なんか楽しみというよりは怖いもの見たさというか…ドキドキ。 1,2年に一度は全幕のバレエ観に行くんだよ。 だいたい渋谷のオーチャードホールでの演目ね。 熊川哲也のKバレエが多かったのだけれど、昨年はチケットがうまく取れず、あきらめていたところ1月に老舗バレエ団の「白鳥〜」があるのを見つけ、チケット取ったのよ。 正直ダンサーは誰でもいいの。 クラシックの全幕、生オーケストラなら。 前にテープでのバレエを観たことあるけどちょっと物足りなかったね。 やっぱり生でバレエ観るなら音も生の方が…。 せっかくきれいなバレエ、きれいなホールで観るんだし。 (チケットだって高いし。笑) 老舗のバレエ団なら充分レベルの高いバレエを観らるだろう…とワクワクして観に行ったのさ。 で、当日席についてちょっとびっくり、前から2列目でしかも前の人はいなかったのでほぼ最前列! でもサッカーもそうだけど、一番前というのは決して「カテゴリー1」ではないのよね。 前過ぎて、舞台全体を観られないから。 サッカーだったらボールよけとかあって、肝心の選手の足元、ボールさばきが見られないんだよね。 一番いい席、カテゴリー1はもう少し後ろなのかな。 でもま、めったに座れる席でないのは確かだからそれはそれで楽しんだの。 案の定、ダンサーの足音もよく聞こえるのはおもしろかった。 こっちも天井を見上げるようなアングルなのでダンサーもみんな上を見てるのね。 当たり前だけどね。 だから「鳥」のアゴばかりみたなあ。笑。 そして舞台が始まり…。 で、少々の違和感が。 何度か白鳥の湖観た事があったのよ。 昔、ボリショイバレエのとか。 「…あれ、白鳥の湖、ってこんな音楽、こんな踊りだったっけ?…」 豪華な衣装、舞台ではあるんだけれど…。 ようやく有名な「4羽の白鳥」が出てきて「そうそう、これこれ」とシロウトらしく楽しんで。 初めの方で、王様やら王子様やらが出てきて何やら「誕生」から「戴冠式」みたいなシーン。 王子様とお友達?の若者4,5人が若々しく踊るの。 でもその王子様と友達、髪型のせいだと思うんだけど、みんな「本並健治」に似てるの。 丸山桂里奈の旦那さんね。 私はヴェルディ時代を知ってるけど。 で、もう本並健治にしか見えなくてさ。 4,5人の踊る本並健治! これはスゴイ! ゴージャス!! 笑いをこらえる… いやいや、バレエですよ… 王子様ですよ、ちゃんと観ましょう。 1時間近くたってから?ようやく日本のレジェンドプリマが登場。 すごい拍手。 私は初めて観る… テレビでは時々。 でも、うーん、正直ハラハラしてしまった。 さすがに御年○〇歳ではチト…。 一番前の席なので肉体の衰えははっきり見えてしまう… もちろん動きは優美なのですが。 でも会場は暖かい拍手で包まれる… やはり往年の世界で活躍した唯一無二のプリマですからね。 で、休憩を挟んでいよいよ黒鳥のシーンが。 正直私みたいなシロウトは見せ場しか理解できないからね…苦笑。 いよいよ… しかし。 黒鳥の32回転はありませんでした。 途中で王子様が似たような回転を披露した時は少し不安がわいたのだけれど… まさかあのシーンがないわけない、白鳥の湖であれが、あの運動会みたいなメロディがないわけない、そのうち出てくる、そのうち… …でもそのうちはありませんでした。 えー!! 32回転ないの?!?! 違和感しかなかったなあ。 後で友人が言うには「ほら、新・白鳥の湖、ってタイトルだよ。 新解釈で、演出が違うんだよ」と。 ホントだ、「新・白鳥の湖」ってなってる。 えー……。 さすがにがっかりしたのでアンケートにそのコト書いた。 白鳥の湖で残念、って。 でもソントキ間違えて「36回転」って書いちゃったのよ。笑。 後で関係者がそのアンケート見たら笑うだろうな、「36回転だとよ、ふん、ろくに知りもしないニワカが知ったかぶって…」って。 たはは。ああ、マヌケ。 漫画のアラベスクでも、「トウで立ったり何回も回る事ばかりがバレエじゃない、本質は云々…」てな場面があったな。 でもねえ、やっぱり観たかったなあ、32回転。 有名ダンサーでなくていいから、無名の若手の情熱や綺麗な肢体を観たかったわ。 次はきっと、Kバレエの舞台を観に行こうっと。 たまたまさっき読んだ夕刊に(ダンサーの)上野水香が所属のバレエ団の規定に従い、45歳で退団、との記事を見る。 (もちろん引退ではない) うーん、こういう規定も大事かな、と思いました。 2月の引退公演で「ボレロ」を演るんですって。 観たいなあ。 でもチケット取れないだろうな。
PS. あ、クロアゲハ無事に羽化できました。感動の美しさ…しかしまだ寒いせいかあまり元気よくは飛べず、2日ほど屋上の花の上にじっとしていて3日目に見にいった時はいなかった。 何とか飛びたったのならいいけど…。 冬はやはりミツのある花も乏しいし難しいですね。 春まで待ってほしかったけどこればかりは自然のプログラムには逆らえず…。 でもすごいきれいな黒いチョウチョだったよ! サナギはもう一ついるのでそのコはぜひ春に羽化を…と願っています。